平成29年税制改正大綱~所得拡大税制の拡充~
所得拡大税制の拡充
概要
所得拡大税制は簡単に言えば給与を増額した法人・個人事業主に対して、一定の税金を控除するといったものです。今回の税制改正では制度が新設されたわけではなく、より控除額が大きくなりました。
賃上げの効果を狙った税制改正だと思いますが、成果を上げている従業員や将来に期待の持てる従業員に対して給与を増額することは従業員のモチベーションアップになり将来の投資にもつながります。給与はもともと経費にもなるため、さらに税額控除があるとうことであれば、良い人材を確保したい中小企業にとっても活用できる税制だと思います。
要件
青色申告を行っている法人で、給与の増加割合(役員とその親族分は除く)が前事業年度以上であり、かつ基準雇用者給与等支給額に比べて一定の割合以上給与が増加している場合には、税額控除できる制度です。ただし、控除税額は、法人税額の10%(中小企業者等は20%)が限度となります。
もともとの所得拡大税制の内容は以下をご参照ください。
http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/syotokukakudaisokushin/syotokukakudai.html
拡充内容
現行の制度では中小企業は条件を満たせば10%の控除がありますが、改正により10%~22%まで税額を控除できるようになります。
条件が以下の2段階で控除となります。
①現行の制度の条件を満たしていたら ⇒ 10%の税額控除
②さらに従業員に支払った給与を、去年と今年と比較して2%以上増えていたら ⇒ 12%の税額控除
③①と②の合計で最大22%の控除
現行では最大で10%の控除でしたが、今回の拡充で最大22%の控除が可能となります。
まとめ
以上のように給与を増額した場合には今まで以上の税額控除があります。今まで従業員の定期昇給や明確な給与引き上げの基準がなかった中小企業であれば、これを機会に定期昇給制度や賃金体系の見直しをする機会にもなるかもしれません。中小企業は人材の不足が継続的な課題となっております。戦略的な人財計画を行い、会社のより良い発展を実現できればと考えております。
本ブログではわかりやすくするために記載内容を簡略化しておりますので、厳密な要件を定義するものはございません。詳細な要件や自社で活用が可能かなどについては個別相談も行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。