内部統制の重要性~重加算税の事例より~

皆さん、こんにちわ

 

名古屋市中川区高畑に事務所を構える税理士法人トラストブリッジです。

 

今日のテーマは内部統制の重要性について「重加算税の視点」で考えてみたいと思います。

 

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【内部統制とは】

 

内部統制とは、簡単にいうと同じ会社で仕事をする社員全員が守らなければならないルールや仕組みのことをいいます。

 

会社は、それだけでは個人の集まりにすぎません。また、会社は法人ですが、それ自体に意思はありません。

 

ですので、会社の財産を守るためには、そこに属する個人が相互にルールを守り、時に牽制しあうことが肝要になります。

 

このルールや仕組みのことを内部統制といいます。

 

例えば、支払伝票の作成者と実際の支払者をわけるルールも、相互牽制を効かせるための立派な内部統制です。

 

この内部統制がないために、経営参画者の不正を見逃し、重加算税を課された事例も存在します。

 

以下では、その事例について紹介いたします。

 

【従業員等の横領が重加算税とされた事例】

 

①(裁決事例集 No.40 – 8頁 より)

 

請求人の常務取締役として経営に参画し、担当部門に係る取引全般を総括的に委任されている者の行った仕入金額の架空計上は、

たとえそれを請求人の代表者が知らなかったとしても、請求人の隠ぺい又は仮装行為と同視すべきであり、重加算税の賦課決定は適法であるとした事例
請求人は仕入金額の架空計上は、請求人の常務取締役であるA男に全面的に任せている部門に係るものであり、

しかもそれはA男が私欲に基づき行ったもので、請求人の代表者はその不正経理を知らなかったから、その架空計上は請求人の行為には当たらず、これに重加算税を賦課するのは違法であると主張する。

 

しかし、重加算税の賦課の目的は、隠ぺい又は仮装に基づく過少申告による納税義務違反の発生を防止し、申告納税制度の信用を維持するところにあることから、

 

隠ぺい又は仮装の行為者が法人の代表者に限定されるものではなく、その役員及び家族等で経営に参画していると認められる者の行為は、法人の代表者がそれを知らなかった場合であっても当該法人の行為と同視されるべきものであり、

 

A男は請求人の常務取締役として経営に参画し、担当部門に係る取引全般を総括的に委任されている者であることから、A男の行った仕入金額の架空計上は請求人の行為と同視すべきものであると認められ、これに重加算税を賦課したのは適法である。

 

②( 裁決事例集 No.58 – 9頁 より)

 

請求人が経営するパチンコ店のフロアー責任者及び経理責任者として実質的に経営に参画していた従業員が行った売上除外による隠ぺい行為について、

それが横領目的であったとしても請求人の行為と同視すべきであるとして、重加算税の賦課決定処分を認容した事例
重加算税の賦課要件たる隠ぺい又は仮装の行為者は、納税義務者たる法人の代表者に限定されるものではなく、その役員又は従業員等で経営に参画していると認められる者が隠ぺい又は仮装をし、かつ、代表者がそれに基づき過少申告した場合は、当該法人が重加算税の負担を受けるべきであり、このことは、当該法人の代表者が納税申告するに当たり、隠ぺい又は仮装行為を知っていたか否かによって左右されるものではない
ところで、売上データを改ざんし、売上金の除外をした本件従業員は、請求人が経営するパチンコ店のフロアー責任者として、同店のコンピュータの操作、台の入替え、景品の管理、従業員の採用及び給与の計算等の一切を任され、確定申告書等の「経理責任者自署押印」欄に記名・押印していること、請求人の代表者はP市内在住の医師であって、パチンコ業については全くの素人であり、同店所在のQ市には年に1ないし2回程度しか来ていないことが認められる。
以上のことから、本件従業員は経理責任者等として請求人の経営に参画していたものと認められ、このような地位にあった従業員が売上金等の管理を担当し、故意に売上金の一部を除外したものである以上、それが同人の私的利益を図るために行われたものであり、また、それを代表者が知らなかったとしても、当該従業員の行為は、請求人の行為と同一視すべきであって、請求人に対して重加算税を賦課した原処分は適法である。

 

【裁決事例のポイント】

代表者に、仮装・隠ぺいの意図がなかった場合でも、経営に参画できる立場にいる者が、横領等の不正行為のために仮装・隠ぺいされた場合でも、重加算税に対象となり得ることが、裁決事例により明らかになっております。

 

この判断のポイントは、上記の二つの事例に留まらず、様々な事例で同様の裁決が行われています。

 

【内部統制の重要性の再確認】

上記の通り、内部統制を構築して、役員を含む従業員の不正行為を防ぐということは、
会社の財産を守るだけでなく、思わぬ重加算税を防ぐという点でも非常に意義のあることになります。
是非会社の内部統制を見渡してみて、従業員の性善説に沿った業務になってないか点検してみてください。

 

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