法人税法における低額譲渡の取り扱い

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皆さん、こんにちわ。

名古屋市中川区高畑に事務所を開設している税理士法人トラストブリッジです。

今日のテーマは、法人税法における「低額譲渡」です。

 

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【低額譲渡とは・・・】

 

低額譲渡とは、時価よりも低い価額で譲渡される取引を言います。

法人税法では、低額譲渡という言葉は定義づけされていませんが、法人税法37条第7項で規定されています。

 

(法人税法37条7項 抜粋)

「内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与をした場合における当該金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額によるものとする」

 

上記の、「経済的な利益の贈与又は無償の供与」低額譲渡に該当すると解されています。

 

 

【低額譲渡に該当した場合の取り扱い】

 

法人税法37条7項は、法人の支出した寄附金に対する取り扱いを規定した条文です。

 

そこでは、低額譲渡に該当した場合、時価と譲渡対価との差額は、寄附金に該当すると記載されています。

 

寄附金は、一定限度額までしか損金に算入できませんので、限度額を超える寄附金は損金に算入することはできません

 

また、これは社外流出項目であるため、翌期以降で取り戻すこともできません。(翌期以降の税効果なし)

 

【裁決事例】

 

本件土地の譲渡価額と時価との差額が生ずることについて合理的な理由があるとは認められないから、その差額は寄付金に該当するとした事例

 

裁決事例集 No.41 – 229頁

 

原処分庁が採用した取引事例の譲渡価額は、本件土地に隣接し、かつ、大規模地であり本件土地との類似性は高く、当該取引事例を基に時点修正して時価を算定した原処分には合理性がある。

 

本件土地は当該取引事例地よりも街路条件及び交通・接近条件で優れていること及び実測面積よりも少ない公簿面積によって原処分庁の時価算定が行われていることを考慮すると、本件土地の時価は、原処分庁の算定時価を上回るものと推認され、原処分庁の認定した時価は相当である。

 

法人税法第37条第6項に規定するいわゆる低額譲渡の場合における「実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額」とは譲渡の対価の額と時価との差額が生ずること(無償性)について、合理的な理由が認められない場合のその差額をいうものと解されるところ、本件土地の時価と譲渡価額とに差額が生じることについて合理的な理由があるとは認められないから、この差額は寄付金に該当する。

 

【裁決事例のポイント】

 

裁決事例を参考にすると、以下がポイントになると考えられます。

 

① 時価が適切であるか

 

時価と一言で言っても、その範囲は広範に及びます。

土地の場合、固定資産税評価額、不動産鑑定価格、近隣相場、相続税評価額、公示価格など、一つの土地に対して様々な価格が付されています。

 

また、非上場の株式の場合、売買事例すらなく、株価算定方法も種々あります。

このことから、後日問題とならないように売買価格の決定に参考にした時価情報若しくは計算過程をしっかりと残すことが必要となります。

 

② 時価との差額がある場合、合理的な理由があるか
時価と譲渡価額に差額がある場合、それをもって低額譲渡に該当するわけではありません。

その差額に合理的な理由がない場合、低額譲渡に該当することとなります。

 

例えば、土地の土壌汚染や建物解体費用など、土地購入者が追加で費用を負担する必要がある場合、時価より低い相場で売却されることもあると思います。

 

このような場合、追加で発生する費用と時価と譲渡価額との差額に合理性が認められる場合は、低額譲渡には該当しないことになります。

 

つまり、第三者間の通常の取引で減額考慮すべき事項について減額されていても、ほとんど問題となることはありません。

 

【実務上の注意点】

 

実務上は、法人と特別の関係のある者との取引に注意してください。

 

特別の関係のある者とは、役員、役員親族、関係会社などです。

 

この場合、時価の算定等をおろそかにした場合、低額譲渡として認定されるリスクが高くなります。

 

税務調査時に第三者間の取引であれば、契約書の確認で済むようなことも、特別の関係のある者との取引では、契約書の確認だけでは済まない場合が多いです。

 

特別の関係のある者と取引する場合は、時価の算定等に一層留意し、計算過程や根拠なども十分に残しておくことが重要になります。

 

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