「会計上ののれん」と「法人税法上の資産調整勘定」の関係について
皆さん、こんにちわ。
名古屋市中川区高畑に事務所を開設している税理士法人トラストブリッジです。
今日は、「法人税法上の資産調整勘定」と「会計上ののれん」の関係について考えてみたいと思います。
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【会計上ののれんとは・・・・】
会計上のれんは、「取得原価が、受け入れた資産および引き受けた負債に配分された純額を上回る場合のその超過額」を言います。
また、古典的にのれんは、その企業や事業の超過収益力を表すといわれます。
これだけでは、いまいち理解できませんね。
ここでの取得原価は投資額を示します。
受け入れた資産は、売上債権や在庫、土地や建物などの資産(商標権などの無形固定資産も含む)を示します。
受け入れた負債は、仕入債務や借入金などの負債を示します。
簡単に言うと、価値として算定できるものの合計よりも何故か投資額が上回る場合のその金額を言います。
価値として算定できるものの合計が10億円にも係らず、何故かその会社には12億の価値が算定される場合の、2億円がのれんということになります。
つまり、2億円が超過収益力ということになります。
これが、のれんです。
【法人税法上の資産調整勘定とは・・・・】
資産調整勘定は、法人税法62条の8にその記述があります。
-法人税法62条の8抜粋-
内国法人が非適格合併等により当該非適格合併等に係る被合併法人、分割法人、現物出資法人その他政令で定める法人から資産又は負債の移転を受けた場合において、当該内国法人が当該非適格合併等により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額が当該移転を受けた資産及び負債の時価純資産価額を超えるときは、その超える部分の金額のうち政令で定める部分の金額は、資産調整勘定の金額とする。
これだけでは、会計上ののれんより、よくわかりませんね。
(これでも、条文内のかっこ内の記述を省略してますが。)
わかりやすく要点だけを書くと以下のようになります。
資産調整勘定=交付した金銭の額-移転を受けた資産及び負債の時価純資産額
つまり、受け入れた資産負債の純額よりも交付した金銭の額が上回る場合のその金額をいいます。
ここだけ読んでみると、ほとんど会計上ののれんと同義のように思います。
【のれんと資産調整勘定との共通点】
上記の通り、のれんと資産調整勘定は投資額と受入金額との差額です。
また、その本質は有機的結合としての受け入れた企業若しくは事業の超過収益力にあります。
【のれんと資産調整勘定との相違点】
では、相違点はどこにあるのでしょう。
詳細に検討していくと相違点は多々あるのですが、詳細まで記載してしまうと全く書ききれないので、ここでは大きな視点でとらえたいと思います。
それは「個別に識別する資産負債の範囲」が異なるといえます。
皆さんは、会計上の費用と税務上の損金の違いについて御存知でしょうか。
これは、例えば会計上の減損損失は税務上の損金にならないなど、会計上の費用と税務上の損金は範囲や認識時期にずれがあります。
複式簿記を採用している現在の会計・税務において収益費用・益金損金のずれは、そのまま資産負債のずれを意味します。
このずれが、のれんと資産調整勘定の相違点になります。
例えば、賞与引当金は会計上は負債になりますが、税務上は負債になりません。
そのため、会計上ののれんの算定では考慮される賞与引当金は、資産調整勘定の算定では考慮されません。
このように、のれんと資産調整勘定との差額は、識別される資産負債の差ということになります。
【まとめ】
ここでは、のれんと資産調整勘定は似たような概念だが、識別される資産負債の範囲が異なると理解しておけば十分かと思います。
但し、詳細はもっと複雑なので実務をされる際はご注意ください。
調べる際でも、この記事で書いた前提を理解しておくと詳細も理解しやすいと思います。
一番申し上げたいのは、調べるのが手間な方は、是非弊社にご依頼くださいということです。
よろしくお願いします。
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