役員への賞与支給~事前確定届出給与の取り扱い~
皆さん、こんにちわ
名古屋市中川区高畑に事務所を構える税理士法人トラストブリッジです。
今日のテーマは法人税法上の「事前確定届出給与」の取り扱いです。
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【事前確定届出給与とは】
役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与のうち、届出期限までに納税地の所轄税務署長にその定めの内容に関する届出をする等の一定の要件を満たしている場合のその給与(以下「事前確定届出給与」といいます。)は、その法人の所得の金額の計算上、損金の額に算入することができます(法法341二)。
事前確定届出給与は実質的には役員の賞与を損金算入するための制度に該当します。
しかし、あらかじめ、いつ、だれに、いくら支払うかを税務署に届出ておくため、賞与ではなく、給与として呼ばれます。
また、役員報酬に該当するので、所得調整に利用されないように、あらかじめ税務署への届出が必要になっております。
【届出期限】
事前確定届出給与の届出期限は、以下の通りです。
・株主総会等の決議をした日(同日がその職務の執行を開始する日後である場合にあっては、当該開始する日)から1月を経過する日。
⇒決算日以後、2か月以内に株主総会を実施する会社がほとんどかと思いますので、実質的に決算日以後、3か月以内が提出期限になります。
実務上は、決算日以後2か月以内に提出する税務申告書と同時に提出しておくと失念がなく、よいかと思います。
・新設法人がその役員のその設立の時に開始する職務につき「所定の時期に確定した額の金銭等を交付する旨の定め」をした場合 その設立の日以後2月を経過する日
【届出通りに支給しなかった場合の取り扱い】
届出通りに支給しなかった場合は、支払った金額の全額が損金不算入となります。
つまり、取締役Xに12月25日に100万円のボーナスを払うと届出た場合で、
① 実際には101万円支払った場合
⇒101万円が全額損金不算入(届出額との差額1万円ではありません)
② 実際には99万円支払った場合
⇒99万円が全額損金不算入(届出額は限度額ではありません)
③ 100万円を1月25日に支払った場合
⇒全額損金不算入(届出た支給日と異なる日でも損金不算入になります。)
損金不算入の場合でも、所得税、住民税は課税対象になります。
【職務執行期間の中途で支給した事前確定届出給与の損金算入時期は?】
では以下のようなケースでは、どのように処理されるのでしょうか。
A社(3月決算)では、平成28年5月26日の定時株主総会において、
取締役Aに対して、定期同額給与のほかに、「平成28年5月26日から平成29年5月25日までの役員給与として28年6月30日及び平成28年12月25日にそれぞれ100万円を支給する」旨の定めを決議し、届出期限までに所轄税務署長へ届け出ました。
この定めに従って支給した平成28年6月30日及び平成28年12月25日の役員給与は、
法人税法第34条第1項第2号(役員給与の損金不算入)に規定する所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与として、当期(平成29年3月期)において損金の額に算入して差し支えないでしょうか。
つまり、職務執行期間が平成29年5月25日までの報酬を平成29年3月期の損金として計上できるのかということについて、考えられた事例です。
この点、国税庁からは以下のように回答されています。
【国税庁からの回答】
役員への賞与の支給時期を使用人への盆暮れの賞与と同じ時期とし、かつ、毎期継続して同時期に賞与の支給を行っているのであれば、上記のような支給形態を採るからといって、その損金算入をすることができないということはありません。
【考え方の要旨】
給与に係る役員の職務執行期間は一般的には定時株主総会から次の定時株主総会までの1年間であると解されることからすれば、
A社が6月に支給した給与も12月に支給した給与も翌年5月25日までの1年間の職務執行の対価の一部となるものであり、また、民法上委任の報酬は後払いが原則とされていることを考えると、上記のような支給形態を採
ることについて、税務上問題があるのではないかと考える向きもあるようです。
しかしながら、使用人への賞与が盆暮れの時期に支給されているのが一般の企業慣行であることを考えると、役員に対して同時期に賞与を支給することはあながち不自然なことではないともいえます。
そこで、上記のような場合において、法人が、役員への賞与の支給時期を使用人への盆暮れの賞与と同じ時期とし、かつ、毎期継続して同時期に賞与の支給を行っているときに、事前確定届出給与に係る一定の要件を満たしていれば、これを事前確定届出給与として当該事業年度の損金の額に算入することとして差し支えないこととなります。
事前確定届出給与は、役員に賞与と払うための制度ですが、その取扱いには一定の留意が必要です。
特に届出期限と支給日には留意が必要です。
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