特例事業承継税制の創設について
平成30年税制改正の大きな目玉として、「特例事業承継税制」が創設されました。
これは「事業承継税制」の10年間の特例措置として、
適用要件の緩和等の大幅な拡充が行われることとなりました。
これは、平成30年4月1日から平成35年3月31日までの間に「承継計画」を都道府県に提出し、
一定の要件を満たした上で、非上場株式を一括で贈与等をした場合、株式等に係る贈与税額、相続税額の納税が猶予され制度です。
以前から、「事業承継税制」という納税猶予制度がありましたが、使い勝手が悪く適用が進みませんでした。
平成30年の改正では、「事業承継税制」の条件が大幅に緩和されました。
それだけ政府も、中小企業の事業承継を円滑に進めたいという証左だと思います。
今日は、「特例事業承継税制」で緩和された要件について、簡潔にまとめていきます。
緩和1 猶予対象株式数の上限の撤廃・猶予割合が100%に拡大
現行の議決権株式総数の2/3の上限が撤廃され、承継時の相続税・贈与税の負担がゼロになります。
緩和2 雇用要件を実質的に撤廃
現行は、雇用8割を維持できなかった場合、猶予された贈与税・相続税を全額納付する必要があります。
これが、本税制では、実質的に撤廃され、維持できなかった場合でも、納税猶予が継続可能になります。
緩和3 対象者を大幅に拡大
現行は、代表者から後継者への株の承継が対象に限定されています。
これが、複数人から後継者への株の承継も納税猶予されることとなります。
また、後継者を3人まで設定することも可能になりました。
緩和4 経営環境の変化に応じた減免制度の創設
現行は、納税猶予が適用されなくなった場合でも、承継時の株価をもとに税額が計算されます。
そのため、多額の納税負担が生じる可能性がありました。
これが、本税制では、納税猶予が適用されなくなった場合に株価を再計算し、納税額が決定されます。
緩和5 相続時精算課税制度の併用適用を拡充
推定相続人以外の者への贈与について相続税精算課税の適用が認められます。
今回の「特例事業承継税制」は、大幅な要件緩和により、適用が進むと思われます。
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