特集 事業承継を考える! vol4 ~保証債務への対策~
中小企業の借入金は、ほとんどの場合、経営者が保証人となっていることが多いと思います。
中小機構のデータによると実に日本の中小企業のうち、82.5%が個人保証を提供しております。
このような保証している借入金のような債務を保証債務といいます。
金融機関が経営者保証を求めているのでは、それは以下のような理由からです。
・法人と個人の財産を区分けできない会社が多い傾向にある(個人資産と会社資産とが一体となっている)
・財務基盤、経営基盤が脆弱な傾向にある(それを経営者保証で補っている)
・経理がずさんな会社が多い傾向にある(例えば、私用の車を会社経費としているなど)
では、現在の経営者に万が一があった場合、この保証債務はどうなるのでしょうか。
~保証債務の相続の対象となる~
結論からいうと、この保証債務も相続の対象となります。
そのため、会社の株式のみを相続して、保証債務を相続しないということは基本的に認められません。
つまり、会社の跡継ぎは自然と保証債務を引き継いでいくこととなります。
~次代に保証債務を引き継がせたくない場合は?~
このような気持ちを抱かれる先代は多いと思います。
ほとんどの場合、跡継ぎは自分の実子であると思います。
親心から、保証債務を引き継がせたくないと思う気持ち、十分理解できます。
では、保証債務を引き継がせない方法はないのでしょうか。
~経営者保証に関するガイドラインの活用~
昔から、無制限な経営者による個人保証には、以下のような課題があるといわれてきました。
・事業承継時の後継者が躊躇すること
・意欲ある挑戦者の再起を妨害すること
そこで策定されたのが、経営者保証に関するガイドラインです。
これは中小企業庁と金融庁の後押しで、
日本商工会議所と一般社団法人全国銀行協会が事務局となり、
経営者保証を提供せず融資を受ける際や保証債務の整理の際の「中小企業・経営者・金融機関共通の自主的なルール」として策定・公表されたガイドラインです。
これを活用すれば、以下のことが実現できます。
☑経営者保証なしで新規融資を受けることができる可能性があります。
☑経営者保証の解除ができる可能性があります。
~経営者保証に関するガイドラインのポイント~
経営者保証に関するガイドラインのポイントは以下の3つです。
☑法人と個人の分離が図られていること
→法人と経営者の間の資金のやり取りを社会通念上適切な範囲を超えないようにすること
☑財務基盤の強化
→財務状況や業績の改善を通じた返済能力の向上に取り組むこと
☑適時適切な情報開示
→金融機関からの情報開示要請に応じて、財務状況や業績見通しについて適時適切に説明できること
これらのポイントをしっかりと抑えることができたら、御社でも経営者保証を解除できる可能性は十分にあります。
事業承継を円滑に行うためにも、是非一度経営者保証の解除について検討してみてください。
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