【保証サービスを提供している企業向け】収益認識に関する会計基準の導入による影響

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皆さん、こんにちわ。

名古屋市中川区高畑に事務所を開設している税理士法人トラストブリッジです。

今日は、収益認識に関する会計基準の導入における「保証サービス」への影響について考えてみたいと思います。

 

【保証サービスとは・・・・】

 

本会計基準では、

 

 

保証サービスとは「当該財又はサービスが合意された仕様に従っているという保証に加えて、顧客にサービスを提供する保証」と定義づけられています。

 

従って、単に意図したとおりに機能するという保証を顧客に提供する保証は、本会計基準でいうところの保証サービスには該当しないこととなります。

 

つまり、単純な製品等の欠陥の対応に関しては本会計基準の適用ではないということになります。

 

 

【従前通り製品保証引当金として処理する場合・・・・】

 

 

この会計基準が公開されるより依然に保証に関しての会計処理としては、製品保証引当金の計上があります。

 

本会計基準でも、

「約束した財又はサービスに対する保証が、当該財又はサービスが合意された仕様に従っているという保証のみである場合、当該保証について、企業会計原則注解(注 18)に定める引当金として処理するとして記載されております。

 

従って、単に意図したとおりに機能するという保証については、従前通り製品保証引当金の計上が検討されることとなります。

 

【取引価格を財又はサービス本体と保証サービスに区分する場合・・・】

 

 

本会計基準では、収益の認識を「履行義務」単位で行うことが基本原則の一つにあります。

保証サービスにおいても、この「履行義務」に該当する場合には、取引価格を本体と保証サービスとの部分に区分する必要があります。

 

なお「履行義務」とは、顧客との契約において、次の(1)又は(2)のいずれかを顧客に移転する約束をいいます。

 

(1) 別個の財又はサービス(あるいは別個の財又はサービスの束)

(2) 一連の別個の財又はサービス(特性が実質的に同じであり、顧客への移転のパタ
ーンが同じである複数の財又はサービス)

 

つまり何かしらの財やサービスを移転させなければいけない約束のことを履行義務と呼んでいます。

 

約束した財又はサービスに対する保証又はその一部が、当該財又はサービスが合意された仕様に従っているという保証に加えて、顧客にサービスを提供する保証(保証サービス)を含む場合には、保証サービスは履行義務であるとされています。

 

つまり、通常への欠陥等への対応以上の保証は、それ自体が別個のサービスであるということです。

 

そのサービスの提供を顧客に提供している以上、それは履行義務が存在することとになります。

 

履行義務が認識された場合は、基本原則に立ち返り、取引価格を財又はサービス及び当該保証サービスに配分することになります。

 

 

 

【保証サービスを含むか否か考慮するための判断要因・・・】

 

 

では、本会計基準の対象となる保証サービスを含むか否かを検討する際には、どのような点に考慮すればいいのでしょうか。

 

この点、保証サービスを含むかどうかを判断するにあたっては、例えば、次の(1)から(3)の要因を考慮するとされています。

 

(1) 財又はサービスに対する保証が法律で要求されているかどうか

 

財又はサービスに対する保証が法律で要求されている場合には、当該法律は、通常、欠陥のある財又はサービスを購入するリスクから顧客を保護するために存在するものであるため、当該保証は履行義務でないことを示している。
(2) 財又はサービスに対する保証の対象となる期間の長さ

 

財又はサービスに対する保証の対象となる期間が長いほど、財又はサービスが合意された仕様に従っているという保証に加えて、保証サービスを顧客に提供する可能性が高いため、財又はサービスに対する保証は、履行義務である可能性が高い。
(3) 企業が履行を約束している作業の内容

 

財又はサービスが合意された仕様に従っているという保証を提供するために、欠陥のある商品又は製品に係る返品の配送サービス等、特定の作業を行う必要がある場合には、当該作業は、履行義務を生じさせない可能性が高い。

 

 

(1)、(3)のより、法律で要求されている場合や通常の欠陥の交換等の対応は履行義務には該当しないことがわかります。

 

(2)より、通常の欠陥への対応期間よりも保証期間が長いなどの場合には、保証サービスは履行義務に該当する可能性が高くなります。

 

例えば、太陽光発電システムにおいて、購入後の欠陥等による交換は履行義務ではないが、10年間の保証を付与などの場合は、履行義務が発生している可能性があるということになるのではないでしょうか。

 

上記はあくまで例ですので、実務上は「やむをえない欠陥等に対する対応であるか」どうかを検討すべきとこととなります。

 

私見ですが、顧客が製品やサービスの購入にあたって保証サービスも考慮するような内容の保証の場合は、本会計基準の保証サービスに該当する可能性が高いように感じます。

 

【顧客が保証サービスを追加で購入するオプションを有している場合・・・】

 

 

保証サービスの中には、顧客が追加で保証サービスを購入する場合があります。

例えば、家電量販店で追加〇〇円で保証期間延長するなどのサービスがこれに該当する思われます。

 

このように顧客が財又はサービスに対する保証を単独で購入するオプションを有している場合には、企業が保証サービスを提供することを顧客に約束していることになります。

 

そのため、上述の判断に係らず、当該保証は別個のサービスとなり、本会計基準に従って履行義務として識別されます。

 

従って、取引価格の一部を本会計基準に従って当該履行義務に配分することとになります。

 

【まとめ】

 

 

企業が自社の財(製品)やサービスに付与する保証のうち、

通常の欠陥等への対応費用は製品保証引当金それ以上の保証サービスは、本会計基準を適用し、履行義務に取引価格を配分すると整理しましょう。

 

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