AIに負けない!一流経理マンへの道。会計基準編 Vol.3

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AIに負けない!一流経理マンへの道。会計基準編 Vol.3

本メルマガは、一流の経理マンとなるべく、
会計基準の本質を理解することを目的とします。

覚えるのではく、理解することを意識して考えながら、読み進めてください。

「題名」費用とは何か・・

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費用とはなんでしょうか。
費用の概念は非常に重要です。

 

会計基準の変遷のほとんどが費用に関するものといっても過言ではないでしょう。

 

 

減損会計基準、棚卸資産評価基準、税効果会計、退職給付会計、ストックオプションに関する会計基準、資産除去債務に関する会計基準・・・

 
会計学者が、いかに費用と収益を対応させるのか、そして費用の捉え方に苦慮してきたのかがうかがい知れます。
費用とは、収益を獲得するために貢献した財・サービスの費消を言います。
ここでの重要なポイントは、「収益を獲得するために貢献する」という点です。
費用は、収益獲得に貢献するものなのです。

 
費用の対にあるものが、損失です。
損失は収益獲得に貢献しない財・サービスの費消をいいます。

 

 
費用と損失は、収益に貢献するか否かで明確に異なります。

 
費用収益対応の原則は、費用に適用される原則です。

 
翌期の収益獲得に貢献する費用は翌期の収益に対応させるために資産として繰り延べます。

 

 

これが、棚卸資産や固定資産などの費用性資産の本質です。

 

 

 

費用性資産とは、棚卸資産や固定資産などの将来費用化が予定されている資産を言います。

 
その対義語が、貨幣性資産です。

 
貨幣性資産は現金や預金、売掛金などの資産を言います。

 
棚卸資産や固定資産などの費用性資産は、その財産的価値(時価)に着目しているのではなく、翌期の収益に対応して費用を計上するために、資産計上されているに過ぎません。

 
もし、資産の財産的価値に反映したいのであれば、時価評価しないと適切に財産的価値を反映することはできませんよね。

 

 

 

しかし、現行の会計基準では取得原価主義に基づき、費用性資産を時価で評価することはありません。

 
減価償却についても、たまに「時の経過による減価を反映するために行うという記述がありますが、
これは減価償却の本質を正しく表現していません。

 

 

 

 

減価償却は、適正な期間損益計算達成のために、その固定資産の利用期間にわたって費用を配分させているのです。

 
決して時の経過による価値の減価を反映するために行っているわけではありません。

 
では、損失はどうでしょうか。

 

 

 

損失は、そもそも収益獲得に貢献しないので、対応する収益はありません。

 

 
ということは、費用と異なり資産に計上し翌期に繰り越す意味はありません。

 
そのため、損失は翌期に資産として繰り越すことなく、必ず発生時に損失として計上します。

 

 

 

棚卸資産評価損や減損損失、繰延税金資産の評価性引当などは、全て損失を繰り延べないために、行う手続きなのです。

 

 

 

これは、時価で評価することとは全く異なります。
繰り返しになりますが、そもそも費用性資産は、将来の収益に貢献する費用を将来の収益獲得時の費用とするために、資産として翌期以降に繰り延べられているのです。

 
そして、損失は翌期以降の収益獲得に貢献しないため、資産として翌期以降に繰り延べる必要はないのです。

 

 

 

ですので、発生時に損失として計上するのです。

 

 

 

棚卸資産や減損損失、繰延税金資産の評価性引当などは、一貫して損失を繰り延べないという会計基準の意思のもと規定が設けられています。

 
ここを勘違いして、時価会計の導入と理解してはいけません。

 
時価会計の導入と誤って理解されることの減損会計ですが、

 

 

 

回収可能額として正味売却価額(≒時価)を利用することはありますが、これはあくまで将来回収できないであろう帳簿価額を引き下げるために正味売却価額を利用しているに過ぎません。

 

 

 

時価会計の導入であれば、時価が上昇している場合でも、評価益を計上しなくてはなりませんよね。

 

 

 

それをしないのは、あくまで、発生主義会計のもと、損失を繰り延べないために行われているからです。
費用と損失の違い、そして費用性資産の本質は、とても重要です。

 

 

 

暗記する必要はないといいつつも、自然と暗記してしまうレベルで理解することをお勧めします。

 

 

 

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■ 発行者 プロフィール ■
税理士法人トラストブリッジ 代表社員
公認会計士・税理士 永田 雄大
・慶應義塾大学商学部卒業
・有限責任監査法人トーマツにて、会計監査、内部統制監査に従事
・アタックス税理士法人にて、中小・中堅企業の税務顧問、事業承継業務に従事
・平成27年6月より、税理士法人トラストブリッジ代表社員就任

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